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You Are The Quarry / Morrissey
The Lost Riots / Hope Of The States
Give Up / The Postal Service

Morrissey, You are the Quarry

1.America Is Not The World
2.Irish Blood, English Heart
3.I Have Forgiven Jesus
4.Come Back To Camden
5.I'm Not Sorry
6.The World Is Full Of Crashing Bores
7.How Could Anybody Possibly Know How I Feel?
8.The First Of The Gang To Die
9.Let Me Kiss You
10.All The Lazy Dykes
11.I Like You
12.You Know I Couldn't Last



You Are The Quarry / Morrissey


以前PUKKA古國と話していたとき、彼女の友人の言葉が話題になった。「30過ぎた男が歌う歌じゃないよね」モリッシーのことである。「Malajusted]発表前後のときだったように記憶している。新譜を出すけれどもヒットには至らず、新しいファンを開拓できずに、スミスからの忠実なる信徒も離れていきつつあったころだ。


ところが、9・11以来、世界が俄然カオス化の様相を呈してきた。音楽業界も同様、レーベルの合併・吸収、淘汰、ネット配信、違法ダウンロードによる著作権侵害、アーティストの氾濫、新譜の氾濫、と混沌としている。そんな中モリッシーが求められているというのだ。モリッシーの創作はもっぱらクリティックとしての鋭い批評眼からなっていると思う。観察し、批評する対象が手ごわければ手ごわいほど、彼の舌先も鋭く、切れ味も増すのだ。彼の姿勢は一貫して変わらない。ゆるぎない、といっても言いくらいだ。既成の価値観が揺らぎ、薄められていく中、彼が「今」をどう捕らえているか、どう表現するか、関心を集めたのだろう。そのモリッシーも40半ばである。多少丸くなった、変わったと言われているが、変わったのは彼ではない、周囲である。業界に(ファンを含めて)ジェネレーション交代が起こったのである。スミスからもう20年立つのだ。


さてモリッシー、起死回生の1枚。
彼の詩は相変わらず鋭い。しかしそれが旋律にまったく乗っていかないときがある。言葉が旋律の上を滑っていってしまうのだ。字余りソングになってしまうのである。それがモリッシー・ワールドなのだが、聴いてるほうはつらい。ところが今作では”歌える”曲が結構あって、そのせいか解りやすいし、言葉が残っていく。


1曲めは『America Is Not The World』。マイケル・ムーア声援者とってはニヤリとする曲である。アメリカは自由の国、黒人・女性・ゲイが大統領になったことのない国。しかし最後にはI Love Youと受け加える。映画『イージー・ライダー』の印象的なセリフを思い出す。「アメリカは自由を愛する。自由のためなら人も殺す」


A『Irish Blood、English Heart』。あまりにストレートなタイトルに赤面してしまった。でも「国旗のそばに立つことを恥じたり、不公平だったり人種差別者だと感じたりしなくていいような時代を夢見てるんだ…」と言われると、日の丸のことをちらりと考えずにはおれない。続くB『I Have Forgiven Jesus』はうらみぶし。モリッシーの「ヰタ・セクスアリス」でもある。


そしてマイ・ベスト、C『Come Back To Camden』 大メロドラマ。センチメンタル。別れた恋人に帰ってきてくれと訴える大仰なバラードの舞台がカムデンなのだ。クソリアリティである。モリッシーの声も厚みと伸びがあり、最高。


G『First Of The Bang To Die』。ポップでノリのいい曲。カラオケで歌えそうなほどキャッチーなメロディ。H『Let Me Kiss You』。メロディに言葉が乗っていない。しかし詞は切実。最後にオチまでついている。


J『I Like You』。Loveと言えよLoveと!と思わず突っ込みたくなるようなモリッシー・フレイズである。しかーし!まるでゲイ・クラブでかかるような曲(笑)。赤面してしまう。モリッシーのささやきを聞こうとは夢にも思わなかった。はは(笑)。


ラストは『You Know I Couldn't Last』。業界のカラクリを知り尽くした彼ならではの曲。その詞はひりひりとしみる。彼自身を歌ったものであり、ニューフェイスたちへの警告とも言える。「ささやきは君を傷つけるかもしれないけれど、印刷された言葉は君を殺すかもしれない」「君を愛するティーンエイジャーたち、起きて、あくびをし、君を殺すだろう…」相変わらず鋭い。ニクイ男である。


Y. ISE


The Lost Riots

The Lost Riots / Hope Of The States


オープニング曲『The Black Amnesias』の何ともセンセーショナルなこと!背筋がゾクっとして鳥肌が立った。その1曲目はインスツルメンツ曲であり、「うむ?モグワイか?」と思いつつも、あの音響カオスは、そんじょそこらの新人にはないスケール。中盤から後半にかけて、攻めに攻められ、逃げ場のないサウンドがぶつかるざまは、もうカタルシスが一気に爆発。感無量…。いきなり1曲目でスイッチ・オン、その『The Black Amnesias』から、どこか歪んだポップ調ソング『Enemies/Friends』(2003年にシングル・リリースされたこの曲は、UKチャート25位まで上ったと言う。新人としては大快挙だろう)に至る、曲の流れは完璧なまでに美しい。ボーカル、サム・ハーリーの声も、そのサウンドにのみ融合するというか、醸し出す独特の雰囲気は、大いなる魅力を持ち合わせている。


テルミン(もう、フレーミング・リップスやマーキュリ・レヴでおなじみの楽器ですね。意外に、色んなバンドが取り入れていることに気づいた昨今…)を駆使し、レヴっぽいサウンドである6曲目『Black DollarBills』(2002年、メンバー手作りでリリースされた超レアEP(タイトル同名)収録曲)、11曲目『Goodhorsehymn』は、かなり壮大な仕上がりだ。レヴ・ファンの1人としてはニヤついてしまったが、ただの真似っ子バンドであれば、「おいおい…」と思うところを、彼たちは、納得させるほど、大きなアート・フォームを展開してくれた。


この『Lost Riots』を聴き終えると、しばらくは余韻が残る。そして感情がじわじわと弾けていくのを感じる。ホープ・オブ・ザ・ステイツというバンドは、サウンドをどう効果的に、人々に聴かせるべきか、本能的に分かっているものかしれない。轟音ギター、ストリングス、ひりひりとしたヴォーカル、これら全てが繰りなす音楽は、聴けば聴くほど、あとをひく中毒性を持っている。彼たちの内側に存在する狂気にも匹敵する哀しみ、何と言うか、ただ単に痛々しい…なんて生やさしいもんじゃなく、真に迫りくる“痛み”は、暗く、影があると同時に、地上から這い上がってきたかのような力強いエネルギーがある。そこがまた、何とも美しい“生”の鼓動を感じてしまうのだ。それは、2004年1月15日、ギタリスト、ジミ・ローレンスが自殺…というショッキングな事実を、メンバー自身が体験した結果なのだろうか?2000年12月にイギリス・チチェスターで結成され、そして今、メンバーの死を乗り越えたであろう(もしくは乗り越えつつある)彼たちは、これからのイギリス・シーンを引っ張るバンドであることは間違いない。たった1枚のアルバムで“悟り”を開眼した、まさしく稀有なバンドであると言えよう。傑作である。


ライヴにも定評のあるホープ・オブ・ザ・ステイツだが、この夏、サマーソニック04で、その全貌を我々の前に見せる!個人的には、一日限りでも、ライヴハウスでライヴを見たいものだ。ダイレクトに彼たちのサウンドを体感する為に。


デビューアルバム『Lost Riots』日本盤はソニーミュージックより、今秋リリース予定。
オフィシャル・ウェブサイト


http://www.hopeofthestates.com/


Utayo Furukuni


Give Up

Give Up / The Postal Service


こぢんまりとしたペット・ショップ・ボーイズ' 的サウンドのThe Postal Service。Death Cab for CutieのBenjamin Gibbard、DntelのJimmy Tamborelloが中心となり、互いのアイデアやサウンドを、ポスタル・サービス(郵便)を介して交換したことから、このバンド名が名づけられたという。Jimmy Tamborelloがエレクトロニク・サウンドを担当、クリエイトしたものをBenjamin Gibbardに郵送し、そのパートにBenjamin Gibbardがギター、ボーカル、歌詞を付けていった過程、それがアルバム『Give Up』となった。きっとこの2人、定期的に「ポストを覗く」という行為を、健全に楽しんだに違いない…。


初めてThe Postal Serviceのサウンドに触れたとき、ヒューマンな温もりと、優しい印象を受け、心地よい時間の流れを感じた。まるで、綿菓子で作られた乗り物で、ふわり空を漂っているような感覚。そして、キャッチーでクリアなメロディに、自然と、身体を揺らし、微笑んでしまう自分がいるのだ。決してドラマティックではないのだが、「等身大」で表現することが、何だかとても輝いて見える作品。確かにシンセサイザーが前面にあるものの、無機質なサウンドに陥ることなく、エモーションの極みを追求しているのは涙もの!その理由は、Benjamin Gibbardの声にある。ペット・ショップ・ボーイズ、ニール・テナントの「声の癒し」(ニールの声は、誰が聞いても心を癒される、特別な声の持ち主と言われている)を、少なからずBenjamin Gibbardの声にも感じるのだ。特に#3 『Sleeping In』 は、ピコピコ・サウンドに、Benjamin Gibbardのポップセンスが絶妙にマッチした珠玉作!「don't wake me I plan on sleeping in」と、メロウな声で、繰り返し歌われたら、この上なく幸福な気分になり、泣けてくる…。この4分21秒は、心の洗浄タイムだ。


『Give Up』は、サブポップからリリースされた。このレーベルのシャープな音楽視点は、個人的に、新鮮な驚きを感ぜずにはいられない。特に、アーティストのサイドプロジェクトには、多大な理解を示していて、素晴らしい作品がサブポップからリリースされている。The Postal Serviceしかり、Ugly Casanovaしかり。(最近、メディアを賑わせているHot Hot Heatも、サブポップのバンドということを挙げておこう)The Postal Service は、7/8にシングル『The District Sleeps Alone Tonight』をリリース。ザ・フレーミング・リップスの『Suddenly Everything Has Changed』をカバーしているのにも注目だ。


ところで、「サブポップ」が「ボブサップ」に見えてしまう人って、結構いるのだろうか?この目の錯覚って、かなり笑えると思いません?


http://www.subpop.com


U. Furukuni


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